第3章 投資信託とインデックス 3-4・読む時間 約7分・最終更新 2026年10月28日
投資信託の選び方|信託報酬・純資産総額・指数との連動と、ETFとのちがい


いざ投資信託を探してみると、同じ「S&P500」や「全世界株式」に連動する投資信託が何本も出てきます。名前もよく似ていて、どれを選べばよいのか分からない。そんなところで止まっていませんか。
前の回(全世界・米国・日本:指数の種類と特徴)で、代表的な指数が何の平均なのかを学びました。指数を決めたら、あとは 同じ指数の投資信託の中から1本を選ぶ だけです。この回では、そのときに見るところを3つに絞って紹介します。どれも、投資信託の説明書(目論見書)や運用の報告書に書いてあることなので、だれでも確かめられます。
この回でわかること
- 同じ指数の投資信託を見くらべるときに見る3つのところ(信託報酬・純資産総額・指数との連動)
- つみたて投資枠の対象の投資信託が、はじめから満たしている条件
- 投資信託とETF(上場投資信託)のちがいと、それぞれが向いている使い方
結論
- まず「どの指数か」を決め、同じ指数の中で ①信託報酬 ②純資産総額 ③指数との連動のしかた の3つを見くらべます
- NISAのつみたて投資枠の対象なら、購入時手数料ゼロ、信託報酬の上限、毎月分配型でないといった条件を、はじめから満たしています
- ETFは取引所でその時の値段で売り買いする投資信託です。金額を決めて毎月自動で積み立てるなら、投資信託のほうが使いやすくなります
まず、どの指数に連動するかを確かめる
投資信託の名前は、運用会社がつけた呼び名です。「全世界」「米国」と入っていても、連動を目指す指数は投資信託ごとにちがうことがあります。
そこで最初に、目論見書の「ファンドの目的・特色」で、どの指数に連動することを目指しているか を確かめます。金融庁の資料でも、目論見書では、どんな資産に投資し、どんな方針で運用し、どんな成果を目指すのかを、買う前に確認するよう案内しています。
同じ指数に連動する投資信託どうしなら、中身はほぼ同じです。だから、差がつくのは 費用 と 運用の確かさ です。ここから先の3つは、この2つを見るためのものです。
見るところ1:信託報酬(持っている間の費用)
いちばん大事なのが 信託報酬 です。持っている金額に応じて、持っているあいだ毎日差し引かれる費用です(しくみは手数料と税金:見えにくいコストを知る)。同じ指数なら、信託報酬が低いほうが手元に残りやすくなります。
NISAのつみたて投資枠の対象になる、指数に連動する投資信託(指定インデックス投資信託)には、金融庁が信託報酬の上限を決めています。
| 投資先 | 信託報酬の上限(税抜) | 対象の投資信託の平均 |
|---|---|---|
| 国内の資産 | 0.5%以下 | 0.27% |
| 内外・海外の資産 | 0.75%以下 | 0.34% |
平均は、金融庁が公表している2026年10月23日時点の数字です。つみたて投資枠の対象は、この時点で377本あります。
信託報酬のほかにも費用がある。 金融庁の資料によると、投資信託には信託報酬のほかに、株を売り買いするときの手数料(売買委託手数料)や、海外の資産を保管する費用、監査の費用なども、運用の中で間接的にかかります。こうした費用も含めて実際にいくらかかったかは、決算ごとに届く 運用報告書 の「1万口当たりの費用明細」で確かめられます。信託報酬が同じくらいの投資信託で迷ったら、ここを見くらべると差が分かることがあります。
見るところ2:純資産総額(投資信託の大きさ)
純資産総額 は、その投資信託に集まっているお金の合計です。投資信託の大きさと考えてください。目論見書や運用会社のサイトで、これまでの推移を確かめられます。
純資産総額で見るのは、金額の大きさそのものより 増えているか、減り続けていないか です。
資産運用業協会の説明によると、投資信託は、残りの口数が一定の規模を下回ったときや、純資産総額が減って運用を続けるのがむずかしくなったときなどに、予定より早く運用を終えることがあります。これを 繰上償還(くりあげしょうかん) といいます。繰上償還になると、そのときの値段でお金が返され、積立もそこで止まります。NISAで持っていた場合も、続けるには別の投資信託を選んで買い直すことになります。
繰上償還の条件は、投資信託ごとに信託約款(投資信託の決まりごと)に書かれています。長く積み立てるつもりなら、お金が集まり続けている投資信託を選ぶほうが安心です。
見るところ3:指数と同じように動いているか
インデックス運用の投資信託は、指数と同じ動きを目指します。ただ、費用がかかることや、株を売り買いするタイミングのずれなどで、指数と少しずつ差が出ます。
目論見書や運用報告書には、これまでの 基準価額(投資信託の値段)の推移 や、指数とくらべた成績が載っています。見るのは次の2点です。
- 指数との差が小さいか:差が小さいほど、指数にきちんと連動できています
- 運用の期間がどのくらいあるか:運用が始まって間もない投資信託は、まだ実績が載っていません。実績が長いほど、連動のしかたを確かめやすくなります
インデックス運用の成績は「指数をどれだけ上回ったか」ではなく、「指数からどれだけずれずに付いていけたか」で見るのがポイントです。
分配金と、つみたて投資枠の条件
投資信託によっては、決算のときに利益の一部を 分配金 として払います。目論見書では、分配の考え方と頻度、決算日を確かめられます。
NISAのつみたて投資枠の対象は、金融庁が決めた条件を満たしたものだけです。おもな条件は次のとおりです。
- 購入時手数料がゼロ(ノーロード)。解約手数料と口座管理料もゼロ
- 信託報酬が決められた上限以下
- 信託期間が無期限か20年以上
- 毎月分配型ではない
- ヘッジ目的など以外で、デリバティブ取引による運用をしない
つまり、つみたて投資枠の一覧から選べば、こうした条件は 選ぶ前にすでに満たされています。はじめての人は、つみたて投資枠の対象の中から、指数を決めて、上の3つを見くらべれば十分です。
ETF(上場投資信託)とのちがい
ETF は、東京証券取引所などの取引所に上場している投資信託です。指数に連動するものが多く、中身はインデックス運用の投資信託とよく似ています。ちがうのは、買い方と値段の決まり方 です。
| 投資信託(上場していないもの) | ETF | |
|---|---|---|
| どこで買うか | その投資信託を扱う販売会社(証券会社・銀行など) | 原則どの証券会社でも売り買いできる |
| 値段 | 基準価額。1日1回計算される | 取引所での時価。取引時間中に動く |
| 信託報酬 | ETFより高い傾向 | 低い傾向 |
| 買い方 | 金額を決めて買える(100円から積み立てられる証券会社もある) | 株と同じように、市場の値段で口数を決めて買う |
ETFは、取引時間中にその時の値段で売り買いしたい人や、株と同じ感覚で扱いたい人に向いています。一方で、ETFでもつみたて投資枠の対象になるものはありますが、2026年10月23日時点で11本と多くありません。
毎月決まった金額を自動で積み立てる なら、金額で買える投資信託のほうが手間がかかりません。はじめての人は、まず投資信託で積立を始め、ETFは株の売り買いに慣れてから考えても遅くありません。
よくある質問
純資産総額は、いくら以上あれば安心ですか?
「いくら以上なら安心」という公式の基準はありません。金額の大きさより、お金が集まり続けているか、減り続けていないかを見ます。なお、つみたて投資枠の対象になるアクティブ運用の投資信託には、純資産額50億円以上という条件があります。
信託報酬のわずかな差でも、気にしたほうがいいですか?
同じ指数で、ほかの条件が同じくらいなら、低いほうを選ぶのが基本です。ただし、ごくわずかな差だけで、持っている投資信託を売って乗りかえる必要はありません。売ると、NISAの年間の枠をもう一度使うことになり、課税口座なら税金もかかります。
投資信託とETF、NISAではどちらがいいですか?
どちらもNISAで買えます。毎月決まった額を自動で積み立てるなら投資信託、取引時間中にその時の値段で売り買いしたいならETFが向いています。はじめての人は、手間の少ない投資信託の積立から始めると続けやすくなります。
ここまでで、投資信託のしくみから選び方まで、ひととおりそろいました。次の章では、いよいよNISAを使って始めます。まずは NISAのしくみ から。口座を開いて積立を設定するまでの手順は、口座を開いてから、つみたて設定を終えるまで で順番に紹介します。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(制度説明資料)、金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年10月23日時点)、資産運用業協会「投資信託なんでもQ&A 分配金・換金/償還の知識」、資産運用業協会「運用報告書」(いずれも2026年10月確認)
この回のまとめ
- まず「どの指数か」を決め、同じ指数の中で信託報酬・純資産総額・指数との連動のしかたを見くらべる
- つみたて投資枠の対象なら、購入時手数料ゼロ、信託報酬の上限、毎月分配型でないなどの条件をすでに満たしている
- ETFは取引所でその時の値段で売り買いする投資信託。金額を決めて自動で積み立てるなら投資信託が使いやすい
確かめ問題
Q1. 同じ指数に連動する投資信託どうしなら、持っている間の費用(信託報酬)が低いほうが手元に残りやすい。○か×か。
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○
同じ指数なら中身はほぼ同じなので、差がつきやすいのは費用です。信託報酬は持っているあいだ毎年かかります。
Q2. 純資産総額が小さくなり続けた投資信託に起こりうることは何ですか?
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繰上償還(予定より早く運用が終わること)
残りの口数が一定の規模を下回ったときなどに、信託期間の途中で運用を終えて、お金が返されることがあります。
Q3. 投資信託とETFで、1日に1回だけ値段が決まるのはどちらですか?
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投資信託(取引所に上場していないもの)
一般的な投資信託の値段(基準価額)は1日1回計算されます。ETFは取引所に上場していて、値段は取引時間中に動きます。
もっとくわしく
- 投資信託とETFの5つの違い|おすすめはどっち?(基礎アーカイブ・2018年)
- インデックスファンドとは|株式市場に影響を与える仕組み(基礎アーカイブ・2015年)
- ファンドとは|巨額資金が相場を動かす仕組み(基礎アーカイブ・2015年)
- 手数料と税金:見えにくいコストを知る
- 口座を開いてから、つみたて設定を終えるまで