第3章 投資信託とインデックス 3-2・読む時間 約6分・最終更新 2026年10月28日
インデックスとアクティブのちがい|市場の平均に乗るか、平均を上回るのを狙うか


投資信託を探しはじめると、「インデックスファンド」「アクティブファンド」という言葉がすぐに出てきます。どちらがよいのか分からず、そこで手が止まっていませんか。
前の回(投資信託のしくみ)で、投資信託は少額でたくさんの会社にまとめて投資できる商品だと学びました。この回では、その投資信託の 運用のしかた の2つの型を、目標・中身・コストの3つで見くらべます。むずかしい計算はありません。読み終えるころには、投資信託の名前や説明を見て「これはどちらの型か」が分かるようになります。
この回でわかること
- インデックス(指数)とは何か。「市場の平均点」と考えるとわかりやすい
- インデックス運用とアクティブ運用の、目標・中身・コストのちがい
- はじめての人が、まずインデックスから考えるとよい理由
結論
- インデックス運用は「市場の平均(指数)と同じ動き」を、アクティブ運用は「平均を上回ること」を目指します
- アクティブ運用は、会社を調べて選ぶ手間の分、持っている間の費用(信託報酬)が高くなりやすく、成績が指数を下回ることもあります
- はじめての人は、コストが低く、何に投資しているかが分かりやすいインデックス運用から考えると迷いにくくなります
インデックス(指数)は「市場の平均点」
インデックス(指数)とは、たくさんの会社の株価を、決まった計算のしかたで1つの数字にまとめたものです。金融庁の資料では、市場全体や一定のルールで選んだ銘柄の値段を、一定の計算式で1つの値にまとめた指標、と説明されています。
身近な例が、ニュースで毎日流れる 日経平均株価 です。「今日の日経平均は○円上がりました」と聞けば、日本の大きな会社の株が全体として上がった日だと分かります。1社ずつの株価を見なくても、市場全体の調子が1つの数字で分かる。これが指数の役目です。
テストにたとえると、指数は「クラスの平均点」のようなものです。
- 日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)……日本の株式市場の平均点
- S&P500……米国の株式市場の平均点
- MSCI ACWI(エーシーダブリューアイ)……全世界の株式市場の平均点
それぞれの指数が「何の平均なのか」は、次の回(全世界・米国・日本:指数の種類と特徴)でくわしく見ます。
インデックス運用とアクティブ運用のちがい
投資信託の運用のしかたは、大きく2つに分かれます。
| インデックス運用 | アクティブ運用 | |
|---|---|---|
| 目指すこと | 指数と同じ動きをすること | 指数を上回ること |
| 中身(組み入れる銘柄) | 指数とほぼ同じ顔ぶれ | 運用の専門家が調べて、よいと考えた銘柄に絞る |
| 持っている間の費用 | 相対的に低い | 相対的に高い |
インデックス運用 は、指数に入っている会社を、指数とほぼ同じ割合で持ちます。日経平均株価に連動する投資信託なら、日経平均株価が1%上がれば、投資信託の値段もおおむね1%上がります。「平均点をそのまま取りにいく」運用です。
アクティブ運用 は、運用の専門家(ファンドマネジャー)が会社の業績や将来性を調べて、上がりそうだと考えた会社を選んで持ちます。うまくいけば平均点を上回りますが、選んだ会社がふるわなければ、平均点を下回ることもあります。
テストでいえば、インデックス運用は「クラス全員の平均点」をそのまま受け取るやり方、アクティブ運用は「よくできそうな生徒を選んで、その子たちの点数で勝負する」やり方です。
コストの差は、毎年積み重なる
2つの型で大きくちがうのが、持っている間ずっとかかる費用、信託報酬 です。信託報酬は、投資信託を持っている金額に応じて、毎日少しずつ差し引かれます(くわしくは手数料と税金:見えにくいコストを知る)。
アクティブ運用は、会社を調べる人手や時間がかかります。そのため、金融庁の資料でも、アクティブ運用のコストはインデックス運用より相対的に高いと整理されています。
たとえば、100万円を1年持ったときの信託報酬は、次のようになります(説明のための例です)。
- 信託報酬が年0.1%なら、100万円×0.1%=約1,000円
- 信託報酬が年1.0%なら、100万円×1.0%=約1万円
1年なら9,000円の差ですが、この差は 持っているあいだ毎年 かかります。さらに、増えたお金がまた増える複利(複利と時間)で考えると、費用で減った分は、その先に増えるはずだった分も一緒に減らします。長く続けるほど、差は大きくなります。
つまり、アクティブ運用で得をするには、高い費用の分を取り返したうえで、さらに平均を上回る 必要があります。
アクティブ運用は「平均を上回る」とは限らない
アクティブ運用は指数を上回ることを目指しますが、それは目標であって、約束ではありません。金融庁の資料にも、アクティブ運用の成果はインデックスを下回る場合がある、と注意書きがあります。
もちろん、指数を上回るアクティブ運用の投資信託もあります。ただ、どれが上回るかを、買う前に見分けるのはむずかしい のです。過去の成績がよかった投資信託が、これからもよいとは限りません。
はじめての人が、まずインデックスから考えるとよい理由
はじめての人には、次の3つの理由から、インデックス運用が向いています。
- コストが低い。 持っている間の費用が低いので、長く続けても費用で目減りしにくい
- 中身が分かりやすい。 「日本の平均」「米国の平均」「全世界の平均」と、何に投資しているかが指数の名前で分かる
- 選ぶ手間が少ない。 どの指数にするかを決めれば、あとは同じ指数の投資信託の中から、費用などを見くらべるだけで済む
NISAのつみたて投資枠も、この考え方に沿っています。金融庁の資料によると、つみたて投資枠で買える投資信託は、
- 指定インデックス投資信託:金融庁が指定した指数(日経平均株価、TOPIX、S&P500、MSCI ACWIなど)に連動するもの
- それ以外の投資信託(アクティブ運用など):純資産額が50億円以上、運用が始まってから5年以上、信託期間の3分の2以上で入ってくるお金が出ていくお金を上回っている、といった実績の条件を満たすもの
に分かれています。アクティブ運用の投資信託にも、長く選ばれてきた実績が求められているわけです。
なお、アクティブ運用がだめというわけではありません。「この考え方の運用にお金を預けたい」と思えるものが見つかったら、目論見書(投資信託の説明書)で運用の方針と信託報酬を確かめ、指数とくらべた長い期間の成績を見たうえで、全体の一部に組み入れる考え方もあります。
よくある質問
インデックスファンドとアクティブファンドは、名前で見分けられますか?
名前に指数の名前(「日経225」「TOPIX」「S&P500」「全世界株式」など)が入っているものは、多くがインデックス運用です。ただし確実ではないので、目論見書の「ファンドの目的・特色」で、指数への連動を目指すのか、指数を上回ることを目指すのかを確かめます。
インデックス運用なら損をしませんか?
損をすることはあります。インデックス運用は指数と同じ動きを目指すので、指数が下がれば投資信託の値段も下がります。下がったときの考え方は「下がったときにどうするか」で取り上げます。
アクティブ運用を選ぶなら、何を見ればいいですか?
運用の方針(どんな会社を、どう選ぶか)、信託報酬、そして指数とくらべた長い期間の成績です。1年だけ成績がよかったものより、長い期間で見て、費用を払ったあとも指数を上回ってきたかを見ます。
次の回では、インデックス運用が目指す「指数」そのものについて、全世界・米国・日本の代表的な指数が、それぞれ何の平均なのかを見ていきます(全世界・米国・日本:指数の種類と特徴)。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(制度説明資料)(2026年10月確認)
この回のまとめ
- インデックス運用は指数と同じ動きを目指し、アクティブ運用は指数を上回ることを目指す
- アクティブ運用は調べる手間の分コストが高くなりやすく、成績が指数を下回ることもある
- はじめての人は、コストが低く中身が分かりやすいインデックス運用から考えると迷いにくい
確かめ問題
Q1. インデックス運用の投資信託が目指すのは、指数を「上回ること」と「同じ動きをすること」のどちらですか?
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同じ動きをすること
インデックス運用は、日経平均株価やS&P500などの指数に連動することを目指します。指数を上回ることを目指すのはアクティブ運用です。
Q2. 「アクティブ運用なら、指数より成績がよくなる」。○か×か。
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×
アクティブ運用は指数を上回ることを目指しますが、結果として指数を下回ることもあります。コストが高い分、そのぶん以上に成績を上げる必要があります。
Q3. 信託報酬が年0.1%と年1.0%の投資信託に、それぞれ100万円を1年持つと、かかる費用はおよそいくらずつですか?
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約1,000円と約1万円
信託報酬は持っている金額に応じてかかります。100万円×0.1%=1,000円、100万円×1.0%=1万円で、この差が毎年続きます。
もっとくわしく
- インデックスファンドとは|株式市場に影響を与える仕組み(基礎アーカイブ・2015年)
- ファンドとは|巨額資金が相場を動かす仕組み(基礎アーカイブ・2015年)
- 全世界・米国・日本:指数の種類と特徴
- 手数料と税金:見えにくいコストを知る