第2章 投資のしくみ 2-3・読む時間 約6分・最終更新 2026年10月28日
複利とは?わかりやすく|単利とのちがいと、長く続けるほど増え方が大きくなる理由


「複利の力はすごい、とよく聞くけれど、正直なところ何がすごいのか分からない」。「今から始めても遅いのでは」。そう思っていませんか。
複利は、むずかしい数学ではありません。「増えた分が、また増える」。それだけのしくみです。ただ、その効き目は、はじめの数年はほとんど目に見えず、10年、20年とたってから大きく表れます。この回では、仮の利回りを使った計算例で、そのようすを数字で確かめます。
前の回(リスクとは「値動きの幅」のこと)では、投資の値段は上がったり下がったりする、という話をしました。この回は、その値動きとは別に、「時間」がどう効いてくるかの話です。
この回でわかること
- 複利と単利のちがい(増えた分も、また増えるかどうか)
- 同じ利回りでも、期間が長いほど差が大きく開く理由
- 年数のめやすが分かる「72の法則」と、計算例を読むときの注意
結論
- 複利は、増えた分を元本に足して、また増やすしくみ。単利は、最初の元本にだけ利息がつく
- 複利の差は、はじめの数年は小さく、10年・20年と続けるほど大きく開く。だから「早く始めて、長く続ける」ことが効く
- 計算例の利回りは仮の数字。投資の実際の値動きは毎年ばらつき、将来の利回りは誰にも約束できない
単利と複利は、どこがちがうのか
お金を預けたり投資したりして増える分には、2つの数え方があります。
- 単利:最初に入れたお金(元本)にだけ、利息がつく数え方
- 複利:増えた分を元本に足して、次からはその分にも利息や利回りがつく数え方
例で見てみます。ここでは仮に、毎年ちょうど年3%で増えるとします。実際の投資では、毎年3%ずつきれいに増えることはありません。あくまでしくみを見るための仮の数字です。
100万円を入れたとき、1年目は単利でも複利でも3万円増えて103万円です。差が出るのは2年目からです。
- 単利の2年目:最初の100万円にだけ3%がつくので、また3万円増えて106万円
- 複利の2年目:103万円に3%がつくので、3万900円増えて106万900円
差はたった900円です。ところが、この「増えた分にも3%がつく」ことを何年もくり返すと、差はだんだん大きくなります。
| 年数 | 単利(仮に年3%) | 複利(仮に年3%) | 差 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 130万円 | 約134万円 | 約4万円 |
| 20年 | 160万円 | 約181万円 | 約21万円 |
| 30年 | 190万円 | 約243万円 | 約53万円 |
10年では4万円ほどの差ですが、30年では50万円を超えます。単利は毎年同じ3万円ずつ増える「まっすぐな線」、複利は増え方そのものが毎年少しずつ大きくなる「上に反っていく線」になります。
時間がたつほど差が開く理由
複利の差が後から大きくなるのは、「増えた分にもつく利回り」が、雪だるまのように積み重なるからです。
先ほどの例で、複利の1年に増える額を見てみます(仮に年3%)。
- 1年目に増える額:3万円(100万円の3%)
- 11年目に増える額:約4万円(約134万円の3%)
- 21年目に増える額:約5.4万円(約181万円の3%)
利回りは同じ3%のままなのに、1年に増える額は、元本が大きくなるにつれて増えていきます。これが「長く続けるほど増え方が大きくなる」理由です。
裏を返すと、複利のいちばんの材料は時間です。同じ利回りなら、長く置いたほうが増え方は大きくなります。お金をたくさん持っていなくても、時間は誰にでも同じようにあります。早く始めることが、そのまま複利を味方にすることになります。
金融庁も、NISAの特設サイトで「長く投資を続けるほど、複利の効果が大きくなる」と、長期投資の考え方を紹介しています。
毎月の積立でも、始める時期で差がつく
まとまったお金がなくても、毎月少しずつ積み立てれば、複利は同じように働きます。
ここでも仮に年3%で増えるとして、毎年12万円(月1万円)を年のはじめに入れ続けた場合を計算してみます。
| 続けた年数 | 入れたお金(元本)の合計 | 年3%で増え続けた場合の合計 |
|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約142万円 |
| 20年 | 240万円 | 約332万円 |
| 30年 | 360万円 | 約588万円 |
20年と30年をくらべると、入れたお金の差は120万円です。ところが合計の差は、約256万円まで開きます。後半の10年は、それまでに増えた分にも利回りがつくからです。
たとえば40歳で始めて70歳まで続けるのと、50歳で始めて70歳まで続けるのとでは、毎月の額が同じでも、この表くらいの差が出る計算になります。「もう若くないから遅い」ではなく、「今日始めれば、今日がいちばん早い」と考えるほうが、複利の考え方に合っています。
72の法則:何年で2倍になるかのめやす
複利の計算は、電卓がないと少し面倒です。そこで便利なのが「72の法則」というめやすです。
72 ÷ 年の利回り(%)= お金がおよそ2倍になる年数
- 仮に年3%なら:72÷3=約24年
- 仮に年6%なら:72÷6=約12年
実際に年3%の複利で24年計算すると、約2.03倍になります。ほぼ合っています。あくまで「およそ」のめやすですが、利回りと年数の関係を、ざっくりつかむのに役立ちます。
計算例を読むときに気をつけること
複利の計算例は、とても分かりやすく見えます。ただ、読むときには3つのことに気をつけてください。
- 利回りは仮の数字です。 この回の年3%も、しくみを見るための仮の数字です。株や投資信託の値段は毎年上がったり下がったりして、大きく下がる年もあります。将来の利回りを約束できる人はいません
- 途中で売ると、複利は止まります。 増えた分を引き出したり、下がったところで売ったりすると、雪だるまはそこで小さくなります。続けられる額で始めることが大切です(生活防衛資金)
- コストと税金も、複利で効いてきます。 毎年かかる手数料や、利益にかかる税金は、増えるはずだった分を毎年少しずつ減らします。この話は2つあとの回(手数料と税金)でくわしく見ます
複利は、魔法ではありません。「増えた分がまた増える」という当たり前のしくみを、時間をかけて積み重ねるだけです。だからこそ、特別な知識がなくても、誰でも使えます。
よくある質問
銀行の預金にも複利はありますか?
あります。預金の利息も、元本に足されて次の利息がつくものは複利で増えます。ただし、利息の数え方や利率は預金の種類ごとに違います。投資の場合は「利息」ではなく値上がりや配当で増え、その増え方は毎年ばらつきます。
年3%で増えると考えてよいのですか?
この回の年3%は、計算のしくみを見るための仮の数字です。投資の結果は毎年ばらつき、マイナスになる年もあります。将来どのくらい増えるかは、誰にも約束できません。
50代から始めても、複利の意味はありますか?
あります。複利は時間が長いほど効きますが、10年、20年でも差は出ます。もう一つ大事なのは、使い始めてからも全部をすぐに引き出さず、残りを運用し続ければ、その間も複利は働くことです(使うときのこと:取り崩し方)。
複利を味方にするには、長く続けることが欠かせません。次の回では、値動きと付き合いながら続けるための3つの方法、「長期・積立・分散」を見ていきます(長期・積立・分散)。
出典:金融庁「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト」(2026年10月確認)。この回の計算例は、仮に年3%で毎年同じように増えるとした場合の試算です(手数料・税金は含みません)。実際の投資の結果を示すものではありません。
この回のまとめ
- 複利は、増えた分を元本に足して、また増やすしくみ。単利は、最初の元本にだけ利息がつく
- 複利の差は、はじめの数年は小さく、10年・20年と続けるほど大きく開く。だから「早く始めて、長く続ける」ことが効く
- 計算例の利回りは仮の数字。投資の実際の値動きは毎年ばらつき、将来の利回りは誰にも約束できない
確かめ問題
Q1. 100万円を仮に年3%の単利で10年置くと、いくらになりますか?
答えを見る
130万円
単利は最初の100万円にだけ毎年3万円がつくので、3万円×10年=30万円増えて130万円です。
Q2. 「複利」では、増えた分(利息や値上がり益)はどうなりますか?
答えを見る
元本に足されて、次からはその分にも利回りがつく
増えた分がまた増えるので、年数がたつほど増え方が大きくなります。
Q3. 72の法則で、仮に年3%で増え続けたとき、お金が約2倍になるのは何年ほどですか?
答えを見る
約24年
72÷3=24です。実際に年3%の複利で24年計算すると約2.03倍で、ほぼ合います。
もっとくわしく
- 長期投資とは|バフェット流の投資方法で儲けられるか?(基礎アーカイブ・2015年)
- 個人投資家になるには 低リスクで資産を着実に増やすための3つの方法(基礎アーカイブ・2015年)
- リスクとは「値動きの幅」のこと
- 長期・積立・分散:値動きとうまく付き合う3つの方法