投資の教科書

第3章 投資信託とインデックス 3-1・読む時間 約6分・最終更新 2026年10月28日

投資信託のしくみをわかりやすく|少額でたくさんの会社に投資できる理由と、3つの会社の役割

ビル模型と貯金箱と電卓
ビル模型と貯金箱と電卓

「NISAを始めるなら投資信託、と聞くけれど、そもそも投資信託が何なのか分からない」。「自分のお金を運用会社に渡して、もしその会社がつぶれたらどうなるの?」。そう思っていませんか。

投資信託は、しくみさえ分かれば、むずかしいものではありません。そして、お金が守られるしくみも、法律でしっかり決められています。この回では、資産運用業協会(2026年4月に投資信託協会と日本投資顧問業協会が合併してできた業界団体)の説明で確かめながら、投資信託のしくみを整理します。

前の回(手数料と税金)では、投資信託の手数料が「財産から差し引かれる」という話をしました。この回で、その「財産」がどこにあって、誰が何をしているのかが分かります。

この回でわかること

  • 投資信託は、たくさんの人のお金をまとめて、専門家が株や債券などに投資するしくみ
  • 販売会社・運用会社・信託銀行の役割と、どこかが破綻してもお金が分けて守られる理由
  • 値段(基準価額)と口数の考え方、分配金が出ると基準価額が下がる理由

結論

  • 投資信託は、たくさんの人のお金を1つにまとめて専門家が運用する商品。少ない金額でも、たくさんの会社や国に分けて投資できる
  • 窓口の販売会社、運用を指図する運用会社、お金を分けて保管する信託銀行の3者で成り立つ。どこかが破綻しても、投資信託の財産は分けて管理されている
  • ただし元本保証ではない。運用で出た損も得も、すべて投資した人のもの

投資信託とは:お金をまとめて、専門家が運用する

投資信託は、たくさんの投資家から集めたお金を1つの大きなお金にまとめ、運用の専門家が株や債券などに投資する金融商品です。運用でうまくいった分も、うまくいかなかった分も、それぞれが入れた金額に応じて分けられます。

たとえるなら、「みんなでお金を出し合って、大きなお弁当箱を作る」ようなものです。1人では1品しか買えない金額でも、みんなで出し合えば、たくさんのおかずを詰めた大きなお弁当箱が作れます。自分はそのお弁当箱の「何切れ分」を持っている、という形になります。

何に投資するかは、投資信託ごとに決められた運用の方針に沿って、専門家が決めます。日本の株だけに投資するもの、世界中の株に投資するもの、債券に投資するものなど、方針はさまざまです。

ここで大事なのは、運用で出た損も得も、すべて投資した人のものだということです。預金と違って、元本(入れたお金)は保証されていません。

少額で、たくさんの会社に分けて投資できる

個人が自分で株を買う場合、ある程度まとまったお金が必要になることが多く、何十社もの株を買いそろえるのは大変です。投資信託なら、みんなのお金をまとめて運用するので、1人あたりは少ない金額でも、たくさんの会社や国に分けて投資できます。

自分で株を買うとまとまったお金が必要で何十社もそろえるのは大変だが、投資信託ならみんなのお金をまとめるので少額でも分けて投資できる
図:投資信託は、みんなのお金をまとめて運用する。1人あたりは少ない金額でも、たくさんの会社や国に分けられる

資産運用業協会は、投資信託のよいところとして、次の4つをあげています。

  • 少額から始められる:1万円程度から始められる
  • 分散投資ができる:個人では難しい、幅広い資産への分散ができる
  • 専門家が運用する:個人では買いにくい海外の株や債券にも投資できる
  • 中身が見えやすい:原則として毎日、値段(基準価額)が公表される。決算ごとに監査法人などの監査も受ける

前の回までに見た「分散」(長期・積立・分散)を、1本で手軽にできるのが、はじめての人に投資信託がよく使われる理由です。

3つの会社が、役割を分けている

投資信託には、3つの会社が関わっています。

投資家が販売会社で買うと、お金は信託銀行で分けて管理され、運用会社の指図で株や債券に投資される
図:お金を預かるのは信託銀行。運用会社は「何を買うか」を指図するだけで、お金そのものは預かっていない
  • 販売会社(証券会社・銀行など):投資家の窓口です。投資家ごとの口座を管理し、投資信託を売ったり、換金(売却)の受付や分配金の支払いをしたりします
  • 運用会社(投資信託運用会社):投資信託をつくり、運用の方針を決めます。どの資産にどう投資するかを考え、信託銀行に「これを買って」「これを売って」と指図を出します
  • 信託銀行:集めたお金を、運用会社の指図に従って売買し、管理します

お金の流れでいうと、あなたが販売会社で投資信託を買うと、そのお金は販売会社を通って信託銀行に入り、信託銀行が運用会社の指図で株や債券を買います。運用会社は「何を買うか」を決めますが、お金そのものは預かっていません。

前の回で見た信託報酬は、この3者がそれぞれの仕事の対価として分け合っています。

どこかが破綻したら、お金はどうなる?

「会社がつぶれたら、自分のお金も消えてしまうのでは」という心配に対しては、3者がそれぞれ破綻した場合について、資産運用業協会が次のように説明しています。

販売会社・運用会社・信託銀行のどこが破綻しても投資信託の財産には影響しないが、元本保証ではない
図:財産が分けて守られるしくみと、元本保証は別の話。値下がりによる損はある
  • 販売会社が破綻したら:お金は販売会社を通って信託銀行で管理されているので、投資信託の財産には影響しません。持っている投資信託は別の販売会社に移され、そこで引き続き取引できます
  • 運用会社が破綻したら:運用会社は指図をするだけで、財産を保管していません。財産は信託銀行にあるので、直接の影響はありません。運用はほかの運用会社に引き継がれるか、期限より前に運用を終えてお金が返されます(繰上償還)
  • 信託銀行が破綻したら:信託銀行は、投資信託の財産を自分の会社の財産と分けて管理すること(分別管理)が法律で決められています。そのため、信託銀行が破綻しても投資信託の財産には影響しません。破綻したときの値段で解約されるか、ほかの信託銀行に移されて持ち続けられます

このように、お金を預かる場所と、運用を決める会社と、窓口とが分かれていることで、どこか1つが破綻しても、投資信託の財産そのものは守られるしくみになっています。

ただし、資産運用業協会も注意しているとおり、これは元本保証とは別の話です。財産が分けて守られていても、投資先の株や債券の値段が下がれば、投資信託の値段も下がります。

値段は「基準価額」、持ち分は「口数」

投資信託の値段を「基準価額(きじゅんかがく)」といいます。投資信託を買うときも売るときも、この値段で取引します。

持っている株や債券などの時価をもとにした純資産総額を、全体の口数で割ったものが基準価額。1日1回、1万口あたりで公表される
図:基準価額は1日に1つだけ計算される。分配金は財産から払われるので、払われた分だけ基準価額は下がる
  • 基準価額のしくみ:投資信託が持っている株や債券などの時価をもとにした財産の合計(純資産総額)を、全体の口数で割ったもの。多くの投資信託は1口1円で始まり、1万口あたりの値段で公表されます
  • 1日1回決まる:一般的な投資信託では、基準価額は1日に1つだけ計算されます。申し込みの締め切りのあとで公表されるので、買うときや売るときは、その日の値段が分からないまま申し込みます

「口数(くちすう)」は、さきほどのお弁当箱の「何切れ分を持っているか」にあたります。同じ1万円でも、基準価額が安いときにはたくさんの口数を、高いときには少ない口数を買うことになります。毎月同じ金額で買う積立では、この口数が月ごとに変わります。

もう一つ、投資信託には「分配金」があるものがあります。決算のときに、運用で得たお金の一部を、持っている口数に応じて投資家に払うものです。分配金は投資信託の財産から払われるので、払われた分だけ基準価額は下がります。分配金が出ること自体が、得をしたという意味ではない点に注意してください。

よくある質問

投資信託はどこで買えますか?

証券会社や銀行などの販売会社で買えます。NISAの口座を開いた金融機関で買うのが一般的です。口座の選び方は証券口座の選び方で取り上げます。このサイトでは、証券会社はSBI証券と楽天証券の2社を紹介しています。

投資信託は預金保険で守られますか?

投資信託は預金ではないので、預金のしくみとは違います。そのかわり、この回で見たように、投資信託の財産は信託銀行で分けて管理されていて、販売会社・運用会社・信託銀行が破綻しても財産は守られるしくみになっています。ただし元本保証ではなく、値下がりによる損はあります。

投資信託の種類が多すぎて、選べません

投資信託の数はとても多いですが、まず大きく分けると、市場の平均(指数)に連動するものと、平均を上回ることを目指すものの2つがあります。次の回で、このちがいを見ていきます。

投資信託のしくみが分かったら、次は中身の選び方です。次の回では、市場の平均に乗る「インデックス」と、平均を上回ることを狙う「アクティブ」のちがいを見ていきます(インデックスとアクティブ)。

出典:資産運用業協会(旧 投資信託協会)「投資信託とは」、同「投資信託の安全性」、同「投資信託のメリット」、同「基準価額と分配金」、同「協会の歩み」(いずれも2026年10月確認)。

この回のまとめ

  • 投資信託は、たくさんの人のお金を1つにまとめて専門家が運用する商品。少ない金額でも、たくさんの会社や国に分けて投資できる
  • 窓口の販売会社、運用を指図する運用会社、お金を分けて保管する信託銀行の3者で成り立つ。どこかが破綻しても、投資信託の財産は分けて管理されている
  • ただし元本保証ではない。運用で出た損も得も、すべて投資した人のもの

確かめ問題

  1. Q1. 投資信託のお金を実際に保管・管理しているのは、販売会社・運用会社・信託銀行のどれですか?

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    信託銀行

    信託銀行は、運用会社の指図に従って売買し、投資信託の財産を自分の会社の財産と分けて管理しています(分別管理)。

  2. Q2. 投資信託を買った証券会社が破綻したら、投資信託の財産はなくなりますか?

    答えを見る

    なくならない

    お金は販売会社を通って信託銀行で管理されているため、販売会社が破綻しても投資信託の財産には影響しません。別の販売会社に移して持ち続けられます。

  3. Q3. 投資信託は元本保証ですか?

    答えを見る

    いいえ

    財産が分けて守られるしくみと、元本保証は別の話です。運用の結果、値下がりして損をすることはあります。

もっとくわしく

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