第5章 続ける 5-3・読む時間 約6分・最終更新 2026年10月28日
リバランスとは?やり方をわかりやすく|配分がずれたとき・暮らしが変わったときの直し方と、NISAでの注意


「株が上がって、最初に決めた割合とずいぶん変わってしまった。このままでいいのだろうか」。「退職や子どもの進学が近づいてきたけれど、積立はこのまま続けていいのか」。そう迷っていませんか。
直し方は、思っているより簡単です。多くの場合、何かを売らなくても、毎月の積立の向きを少し変えるだけで足ります。この回では、配分のずれの直し方(リバランス)と、暮らしが変わったときの見直し方を、NISAの決まりとあわせて見ていきます。
前の回(見るのは年に何回でいい)では、年1回の点検で「配分がずれていないか」「暮らしが変わっていないか」を見る、という話をしました。この回は、その点検で気づいたことの直し方です。
この回でわかること
- リバランス(配分を元に戻すこと)は何のためにするのか
- 直し方の3つ(買う配分を変える・お金を足す・売って買い直す)と、それぞれの向き不向き
- NISAの中で売り買いするときの枠の決まりと、暮らしが変わったときの見直し方
結論
- リバランスは、もうけを増やす技ではなく、値動きの幅を最初に決めた大きさに戻すためのもの。ずれが小さいうちは気にしなくてよい
- 直し方は「買う配分を変える」「お金を足す」「売って買い直す」の3つ。売らずにすむ方法から考えると、税金も枠も使わずにすむ
- NISAで売った分の枠は翌年以降に、買ったときの金額で戻る。年間の投資枠は売っても戻らない。暮らしが変わったときは、生活防衛資金→積立額→配分の順に見直す
リバランスとは:決めた割合に戻すこと
投資を始めるときは、お金を「株の投資信託のように値動きの大きいもの」と「預金や債券のように値動きの小さいもの」に分けて持つことが多いです。この割合を配分(資産配分)といいます。
配分は、何もしなくても値動きでずれていきます。
例:株が上がって、株の割合が増えた
ここでは仮に、株の投資信託100万円、預金など100万円の、半分ずつで始めたとします。その後、株が値上がりして150万円になり、預金などは100万円のままだったとします。合計は250万円で、株の割合は60%、預金などは40%です。
増えたのだから良いことでは、と思うかもしれません。ただ、株の割合が大きくなると、そのぶん値動きの幅も大きくなります。リスクとは「値動きの幅」のことで考えた「自分が受け止められる幅」を、知らないうちに超えてしまうかもしれません。
そこで、ずれた配分を最初に決めた割合に戻します。これをリバランスといいます。この例なら、合計250万円を半分ずつ、株125万円・預金など125万円に戻すことになります。
リバランスは、もうけを増やすための技ではありません。値動きの幅を、自分で決めた大きさに保つためのものです。
どのくらいずれたら直すか
少しのずれを毎回直す必要はありません。年1回の点検で見て、「決めた割合から5ポイント以上ずれていたら直す」のように、自分で目安を決めておくと迷いません。5ポイントは一つの例で、決まった正解はありません。大事なのは、値動きを見てその場で決めるのではなく、先に決めた目安で動くことです。
直し方は3つ
配分を戻すやり方は、大きく3つあります。
1. 買う配分を変える
毎月の積立で、割合が減っているほうを多めに買います。上の例なら、しばらくのあいだ、積立のお金を預金など値動きの小さいほうに回します。
仮に毎月3万円を積み立てているなら、預金などのほうに25万円を足すには、値動きを考えなければ9か月ほどかかります。時間はかかりますが、何も売らないので、税金も手数料もかからず、NISAの枠も使い直さずにすみます。
2. お金を足す
ボーナスなど、まとまったお金が入ったときに、減っているほうに足します。こちらも売らずにすみます。ただし、生活防衛資金を削ってまで足すことはしません。
3. 売って買い直す
増えたほうを売って、減っているほうを買います。上の例なら、株を25万円分売って、預金などに25万円足せば、すぐに125万円ずつに戻ります。
早く戻せるかわりに、次のことに気をつけます。
- 課税口座(NISAの外の口座)で利益が出たものを売ると、利益に20.315%の税金がかかります(所得税15%・住民税5%に、復興特別所得税が加わります)
- NISAの中で売ると、枠の決まりがかかわります(次の見出しで説明します)
はじめての人は、まず1と2で戻せないかを考え、ずれがとても大きいときや、使う時期が近くて急ぐときに3を使う、という順番が分かりやすいです。
NISAの中でリバランスするときの注意
NISAの口座で持っているものを売っても、利益に税金はかかりません。ここは課税口座より有利です。ただし、枠について次の決まりがあります(NISAのしくみ)。
- 売った分の枠が戻るのは翌年以降。 戻るのは、売ったときの値段ではなく、買ったときの金額(簿価)です。100万円で買ったものを150万円で売ったら、翌年以降に戻る枠は100万円です
- 年間の投資枠は、売っても戻らない。 年間に買えるのは、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の、合わせて360万円までです。売って空いた分で買い直すと、その年の年間の投資枠を使います。戻ってきた枠が、その年の年間の投資枠に上乗せされることもありません
- 生涯の上限を使い切っている人は、売った年には買い直せない。 生涯で非課税で持てるのは1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。上限いっぱいまで使っている人が売ると、買い直せるのは翌年以降です
つまり、NISAの中で「売って買い直す」と、その年の枠を使い、すぐには元に戻りません。NISAの中では、1の「買う配分を変える」がいちばん手間がかかりません。
値動きの小さい部分を、NISAの外の預金で持っている人も多いと思います。その場合は、預金も配分に入れて数えます。株が増えすぎたら、NISAで株を売る前に、「しばらく預金のほうを厚くする」「NISAで買う額を少し減らす」ことでも、配分は戻っていきます。
なお、金融庁は2026年8月の税制改正要望で、売った年のうちに生涯の上限を戻す見直しを求めています。これは要望の段階で、まだ決まっていません。
暮らしが変わったときの見直し
配分のずれとは別に、暮らしが変わったときにも見直します。たとえば、収入が大きく変わった、家族が増えた、家や教育でまとまったお金を使う時期が近づいた、退職が見えてきた、といったときです。
見直すのは、次の順番です。
- 生活防衛資金。 まず、収入が止まっても暮らせるお金が、今の暮らしに足りているかを確かめます(生活防衛資金)
- 積立額。 収入が減ったら、積立をやめる前に、まず額を減らせないかを考えます。減らしてでも続けるほうが、やめて再開するより迷いが少なくてすみます(毎月いくら、どちらの枠で)
- 配分。 数年のうちに使うと決まっているお金は、値動きの大きいものに置かないようにします。使う時期が近づくほど、値動きの小さいものの割合を増やしていくのが基本の考え方です
退職が近い人は、貯めたお金をどう使っていくかも、あわせて考えます。これは次の回で扱います。
よくある質問
リバランスは毎年しなければいけませんか?
毎年する必要はありません。年1回の点検で配分を見て、自分で決めた目安(たとえば5ポイント)よりずれていたときだけ直せば十分です。
全世界株式の投資信託1本だけを持っています。リバランスは要りますか?
投資信託の中の国や会社の割合は、運用会社がその投資信託のルールに沿って調整しています。自分で考えるのは、その投資信託と、預金など値動きの小さいものとの割合です。
株が大きく下がって割合が減ったときも、直すのですか?
直します。このときは、減った株のほうを多めに買うことになります。下がっているときに買い足すのは勇気がいりますが、決めた割合に戻すだけなので、値動きを予想して売り買いするのとは違います。
配分と暮らしの見直しができたら、続けることの準備はそろいました。次の回では、はじめての人がつまずきやすい失敗をまとめて見ていきます(はじめての人のよくある失敗)。
出典:金融庁「NISAを知る」、金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(2024年6月)、金融庁「令和9(2027)年度 税制改正要望について」(2026年8月)、国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」(いずれも2026年10月28日確認)。この回の例の金額は、しくみを見るための仮の数字です。制度は変わることがあります。最新の内容は金融庁・国税庁と金融機関の案内をご確認ください。
この回のまとめ
- リバランスは、もうけを増やす技ではなく、値動きの幅を最初に決めた大きさに戻すためのもの。ずれが小さいうちは気にしなくてよい
- 直し方は「買う配分を変える」「お金を足す」「売って買い直す」の3つ。売らずにすむ方法から考えると、税金も枠も使わずにすむ
- NISAで売った分の枠は翌年以降に、買ったときの金額で戻る。年間の投資枠は売っても戻らない。暮らしが変わったときは、生活防衛資金→積立額→配分の順に見直す
確かめ問題
Q1. 株100万円・預金など100万円で始め、株が150万円に増えました。株の割合は何%になっていますか?
答えを見る
60%
合計が250万円になり、そのうち株が150万円なので、150÷250=60%です。
Q2. NISAの口座で今年売った分の枠は、今年のうちに使い直せる。○か×か
答えを見る
×
売った分の枠が戻るのは翌年以降です。また、戻った枠がその年の年間の投資枠に上乗せされるわけでもありません。
Q3. 売らずに配分を元に戻すには、どうすればよいですか?
答えを見る
毎月の積立で、割合が減っているほうを多めに買う(または、足すお金を減っているほうに回す)
売らないので、課税口座の税金もかからず、NISAの枠も使い直さずにすみます。そのかわり、戻るまで時間がかかります。