投資の教科書

第6章 株を知る 6-4・読む時間 約7分・最終更新 2026年10月28日

PER・PBR・配当利回りとは?|株価が割安か割高かを測る3つのものさしと、EPS・BPSの意味

ドルとチャートと電卓
ドルとチャートと電卓

株の情報を見ると「PER 15倍」「PBR 0.8倍」「配当利回り 3%」といった数字が並んでいます。どれも大事そうなのに、何を比べた数字なのか分からず、読み飛ばしていませんか。

前の回では、会社の成績表である決算書を、ざっくり読む方法を見ました(決算書をざっくり読む)。この回では、その決算書の数字と株価をくらべる「ものさし」を3つ紹介します。計算はかけ算と割り算だけです。一度自分で計算してみると、数字の意味がすっと入ってきます。

この回でわかること

  • PER・PBR・配当利回りが、それぞれ株価を何と比べた数字か
  • 指標の元になるEPS(1株あたり利益)とBPS(1株あたり純資産)の意味
  • 指標を見るときの注意(何倍なら買い、という決まった基準はないこと)

結論

  • PERは株価が「1株あたり利益」の何倍か、PBRは「1株あたり純資産」の何倍か、配当利回りは1年の配当が株価の何%か、を表します
  • 指標は「割安かもしれない」という手がかりで、答えではありません。「何倍なら買い」という決まった基準はありません
  • 同じ会社の過去や、同じ業種の会社とくらべて使います。数字が低いときは、なぜ低いのかを必ず確かめます

指標の元になる「1株あたり」の数字:EPSとBPS

PERやPBRは、株価を「1株あたり」の数字とくらべます。そのため、まず決算書の数字を1株あたりに直します。

決算書の数字を1株あたりに直し、株価とくらべると、PER・PBR・配当利回りになる流れ
図:3つの指標は、どれも「決算書の数字を1株あたりに直して、株価とくらべる」ことで出てくる
  • EPS(1株あたり利益):会社が1年でもうけた当期純利益(税金などを引いた最後のもうけ)を、発行している株の数で割ったもの。1株が1年で稼いだ利益です
  • BPS(1株あたり純資産):純資産(会社の資産から借金などを引いた、株主の取り分)を、株の数で割ったもの。仮に会社をたたんで分けたとき、1株あたりに残る金額の目安です

ここからは、架空の「A社」で計算してみます。数字は説明のために作った仮の例で、実在の会社ではありません。

A社(仮の例) 数字
株価 1,200円
発行している株の数 1,000万株
1年の当期純利益 10億円
純資産 100億円
1株あたりの年間配当 30円
  • EPS=10億円÷1,000万株=100円
  • BPS=100億円÷1,000万株=1,000円

PER:利益から見て、株価は何倍か

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍かを表します。

  • PER=株価÷EPS
  • A社:1,200円÷100円=12倍

日本証券業協会の説明では、PERは「投資したお金を、1株あたり利益だけで回収するのに何年かかるか」と考えることもできます。A社が毎年100円の利益を出し続けると、12年分で株価の1,200円になる、という見方です。

一般に、PERが高いと利益にくらべて株価が割高、低いと割安といわれます。ただし注意があります。

  • 何倍が正しい、という水準はない:同じ協会の説明でも、PERは何倍が妥当かを示すものではなく、その会社の過去のPERや、同業の会社とくらべて使うものとされています
  • 成長が期待される会社ほど高くなりやすい:たとえば架空のB社が、A社と同じ1株あたり利益100円で株価3,000円なら、PERは30倍です。これは「B社はこれから利益が大きく伸びる」と多くの人が考えている表れかもしれません
  • 業種によって高い・低いがある:ちがう業種の会社のPERをそのままくらべても、あまり意味がありません

もう一つ大事なのは、どの年の利益で計算したかです。株価は会社のこれからを先取りして動くので、PERは「今期の予想の利益」で計算することが多くあります。もしA社の利益が来年半分になりそうなら、予想のEPSは50円で、同じ株価でもPERは24倍になります。過去の利益で見ると12倍で「安い」ように見えても、これからの利益で見ると安くない、ということが起こります。

PBR:純資産から見て、株価は何倍か

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍かを表します。

PERは株価を1株あたり利益とくらべ、PBRは株価を1株あたり純資産とくらべる
図:PERは株価と利益(1年ごとの流れ)、PBRは株価と株主の取り分(積み上がった残高)の関係を表す
  • PBR=株価÷BPS
  • A社:1,200円÷1,000円=1.2倍

PBRが1倍なら、株価と、会社をたたんだときに1株あたりに残る金額が同じ、という意味になります。1倍を下回ると、市場で売るより会社をたたんだほうが多く戻る計算になるので、「売られすぎ」と見られることがあります。

ただし、日本証券業協会は、PBRが低い状態が続いているのは、それがその会社の本当の値打ちだと投資家が考えているから、という見方もできると説明しています。たとえば、利益が出ていない、資産の中身が帳簿の金額ほどの値打ちがない、といった理由です。

PERとのちがいは、くらべる相手です。日本取引所グループの説明では、PERは株価と「利益(1年ごとの流れ)」の関係、PBRは株価と「株主の取り分(積み上がった残高)」の関係を表します。

配当利回り:1年の配当は、株価の何%か

配当利回りは、1株あたりの年間配当が株価の何%にあたるかを表します。配当とは、会社がもうけの一部を株主に分けるお金のことです。

何か心配があってA社の株価が1,200円から600円に下がり、配当が30円のままだと、配当利回りは2.5%から5%に上がって見える
図:利回りが高いのは「よい会社だから」ではなく、「何か心配があって株価が下がったから」かもしれない
  • 配当利回り=1株あたりの年間配当÷株価×100
  • A社:30円÷1,200円×100=2.5%

預金の利息とくらべやすいので注目されやすい指標ですが、気をつけるところが2つあります。

  • 配当は約束されたものではない:配当は会社の業績に応じて払われるので、期待どおりに受け取れるとは限りません。業績が悪くなると、減ったり、なくなったりすることがあります
  • 株価が下がると、利回りは上がって見える:A社の株価が600円に下がり、配当が30円のままなら、配当利回りは5%になります。利回りが高いのは「よい会社だから」ではなく、「何か心配があって株価が下がったから」かもしれません

あわせて見たいのが配当性向です。当期純利益のうち、どのくらいを配当に回したかの割合で、A社なら30円÷100円×100=30%です。配当性向がとても高い会社は、利益が少し減っただけで配当を続けにくくなることがあります。また、配当を多く出すほど、会社の中に残して将来に使うお金は少なくなります。

指標を使うときの3つの心がけ

指標は便利ですが、それだけで買う・買わないを決めるものではありません。

仮の例のA社は、PER12倍、PBR1.2倍、配当利回り2.5%
図:仮の例のA社の3つの指標。どれも「何倍・何%なら買い」という基準を示すものではない
  1. くらべる相手をそろえる:同じ会社の過去の数字か、同じ業種の会社とくらべます
  2. 低い理由を探す:PERやPBRが低い、配当利回りが高い、というときは、利益が減りそう、借金が多いなど、市場が心配している理由があるかもしれません。決算書や会社の発表で、その理由を確かめます
  3. 3つを組み合わせて見る:1つの指標だけでは、会社のことは分かりません。利益・資産・配当の3つの方向から見ると、見落としが減ります

証券会社のサイトやアプリでは、多くの場合、こうした指標は会社のページに出ています。自分で計算しなくても見られますが、一度は手で計算して、何と何をくらべた数字かを知っておくと、数字にふり回されにくくなります。

よくある質問

PERやPBRは、何倍以下なら買いですか?

決まった基準はありません。日本証券業協会も、PERは何倍が妥当かを示すものではなく、過去や同業の会社とくらべる「相対的な」ものさしとして使うよう説明しています。数字だけで売り買いを決めないことが大切です。

投資信託を積み立てている人も、指標を知る必要がありますか?

インデックスの投資信託を積み立てるだけなら、1社ずつの指標を見る必要はありません。ただ、ニュースで「日本株は割安」「米国株はPERが高い」といった話が出たとき、何を言っているのかが分かるようになります。

配当利回りの高い株を選べば、預金より得ですか?

配当は業績しだいで減ることがあり、株価そのものも上下します。配当利回りが預金の利率より高くても、株価が下がれば、受け取った配当以上に損をすることもあります。

指標で株を見られるようになったら、次は、個別株で大きくつまずかないための注意です。1つの会社への集中、ナンピン、信用取引を、個別株を選ぶ人の目線で見ていきます(個別株で大きく失敗しないために)。

出典:日本証券業協会「PER」(投資の時間 金融・証券用語集)、日本証券業協会「PBR」(同)、日本証券業協会「配当利回り」(同)、日本証券業協会「配当性向」(同)、日本取引所グループ「株価収益率」(用語集)、日本取引所グループ「株価純資産倍率」(用語集)(いずれも2026年10月28日確認)。A社・B社の数字は説明のために作った仮の例です。

この回のまとめ

  • PERは株価が1株あたり利益の何倍か、PBRは1株あたり純資産の何倍か、配当利回りは1年の配当が株価の何%か
  • 指標は「割安かもしれない」の手がかりで、答えではない。何倍なら買い、という決まった基準はない
  • 同じ会社の過去や、同じ業種の会社とくらべて使う。指標が低い理由(利益が減りそう、など)を必ず確かめる

確かめ問題

  1. Q1. 株価1,200円、1株あたり利益(EPS)100円の会社のPERは何倍?

    答えを見る

    12倍

    PERは株価÷1株あたり利益で求めます。1,200円÷100円=12倍です。

  2. Q2. PERが10倍以下の株は、必ず割安なので買ってよい。○か×か

    答えを見る

    ×

    PERに何倍なら割安という決まった水準はありません。利益が減りそうだと見られて株価が安いこともあります。過去や同業の会社とくらべて使います。

  3. Q3. 配当が変わらないまま株価が下がると、配当利回りはどうなる?

    答えを見る

    上がる

    配当利回りは1株あたりの年間配当÷株価です。株価が下がると、割合は大きくなります。利回りが高いのは、株価が下がったからかもしれません。

もっとくわしく

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