第5章 続ける 5-2・読む時間 約5分・最終更新 2026年10月28日
投資信託は年に何回見ればいい?|触りすぎないほうがよい理由と、年1回の点検で見る4つのところ


「つみたてを始めてから、気になって毎日アプリを開いてしまう」。「ほったらかしでいいと言われても、本当に放っておいて大丈夫なのか不安」。そう思っていませんか。
安心してください。つみたては、設定さえ済めば毎月自動で続きます。見るのは年に1回の点検と、暮らしが変わったときで足ります。この回では、見すぎないほうがよい理由と、見るときに見るところを4つにしぼって紹介します。
前の回(下がったときにどうするか)では、値下がりしたときに売らずに続ける考え方を見ました。この回は、そもそも値動きに振り回されないための「見る回数」の話です。
この回でわかること
- 毎日見なくてよい理由と、見すぎると起きやすいこと
- 見るのは「年1回」と「暮らしが変わったとき」で足りる理由
- 年1回の点検で見る4つのところと、見なくていいもの
結論
- つみたては、設定すれば毎月自動で続く。毎日の値動きを見ても、やることは増えない。見るほど売り買いしたくなるので、見る回数は少ないほうがよい
- 見るのは年1回の点検と、暮らしが変わったときで足りる。点検の日は、誕生日や年の初めなど毎年同じ日に決めておく
- 点検で見るのは「積立が続いているか」「配分がずれていないか」「暮らしが変わっていないか」「コストや方針が変わっていないか」の4つ。評価額の上下は見るところではない
見る回数が多いほど、触りたくなる
投資信託の値段(基準価額)は、毎日変わります。きのうより上がる日もあれば、下がる日もあります。リスクとは「値動きの幅」のことで見たように、この上下は投資につきものの「ゆれ」です。
毎日見ていると、このゆれのたびに気持ちが動きます。上がった日は「もっと買い足そうか」、下がった日は「今のうちに売ったほうがいいのでは」。見る回数が多いほど、売り買いしたくなる回数も増えます。
ところが、長く続けるつみたてで、毎日の値動きに合わせてやることは、ほとんどありません。買う日も金額も、最初に決めたとおりに自動で続いていきます。見ても、やることは増えないのです。
売り買いを増やすと、次のようなことが起きやすくなります。
- 下がったところで売ってしまう。 怖くなって売ると、そこで損が確定します(はじめての人のよくある失敗)
- 課税口座では、売るたびに税金がかかる。 NISAの外の口座(課税口座)で利益が出たものを売ると、利益に約20%(所得税15%・住民税5%に、復興特別所得税が加わって20.315%)の税金がかかります
- NISAでは、売った枠がすぐには戻らない。 NISAの口座で売ると、その分の枠が戻るのは翌年以降です。年間の投資枠(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合わせて360万円)は、売っても戻りません。売っては買い直すことをくり返すと、その年の枠を使ってしまいます
「何もしない」は、つみたてでは手抜きではありません。決めたとおりに続けること自体が、いちばん大事な仕事です。
見るのは「年1回」と「暮らしが変わったとき」
では、まったく見なくてよいかというと、そうではありません。年に1回は点検をします。それとは別に、暮らしが大きく変わったときにも見直します。
点検の日は、毎年同じ日に決めておくと忘れません。たとえば次のような日です。
- 誕生日や結婚記念日など、毎年かならず来る日
- 年の初め(NISAの年間の投資枠は年ごとに決まっているので、その年の使い方を考えやすい)
- ボーナスが出る月や、源泉徴収票が届くころ(1年の収入が分かる)
スマートフォンのカレンダーに「投資の点検」と入れて、毎年くり返す設定にしておくと楽です。
暮らしが変わったときとは、収入が大きく増えた・減った、家族が増えた、家や子どもの教育でまとまったお金を使う時期が近づいた、退職が見えてきた、といったときです。このときの直し方は、次の回で扱います。
年1回の点検で見る4つのところ
点検で見るのは、次の4つです。どれも、毎日の値動きとは関係のないことばかりです。
1. 積立が設定どおり続いているか
引き落とし口座の残高が足りずに買えていなかった、クレジットカードの有効期限が切れて積立が止まっていた、ということがあります。1年分の買い付けの記録を見て、毎月決めた金額で買えているかを確かめます。
2. 配分がずれていないか
株の投資信託と、預金など値動きの小さいものの割合(配分)が、最初に決めた割合からずれていないかを見ます。株が大きく上がった年は、知らないうちに株の割合が大きくなり、値動きの幅も大きくなっています。大きくずれていたら、次の回の方法で直します。
3. 暮らしが変わっていないか
収入、家族、まとまったお金を使う予定を書き出して、1年前とくらべます。あわせて、生活防衛資金(生活防衛資金:いくら、どこに置いておくか)が今の暮らしに足りているかも確かめます。積立額が今の家計に合っているかは、毎月いくら、どちらの枠での考え方で見直します。
4. コストや方針が変わっていないか
持っている投資信託の信託報酬(持っている間ずっとかかる手数料)や、運用の方針に大きな変更がないかを見ます。変更があるときは、運用会社や証券会社からお知らせが届くことがあります。点検の日に、届いたお知らせにまとめて目を通せば十分です。
点検が終わったら、「今年の配分」「積立額」「気づいたこと」を一言メモしておきます。来年の点検で、去年の自分とくらべられます。
見なくていいもの
反対に、次のものは見なくてかまいません。
- 毎日の評価額や評価損益。 評価額がマイナスでも、売らなければ損は確定しません
- 「暴落」「急騰」などのニュースの見出し。 気になって売り買いのきっかけになりやすいものです
- SNSで見る、ほかの人の成績。 始めた時期も、持っているものも違うので、くらべても意味がありません
- 投資信託の人気ランキング。 決めた積立先を、ランキングを見て毎年変える必要はありません
どうしても見てしまう人は、証券会社のアプリの通知を切る、アプリをスマートフォンのホーム画面の奥に移す、といった工夫が効きます。「見ない仕組み」を先に作っておくと、気持ちに頼らずにすみます。
よくある質問
本当に年1回で大丈夫ですか? 大きく下がったときは見たほうがいいのでは?
大きく下がったときに見ても、つみたてを続けるなら、やることは変わりません。下がったときの考え方は下がったときにどうするかにまとめています。ただし、生活費が足りなくなりそう、など暮らしの側に変化があるときは、年1回を待たずに見直します。
点検の日に評価額が大きく下がっていたら、どうすればいいですか?
点検で見るのは、積立・配分・暮らし・コストの4つです。下がっていたこと自体は、売る理由になりません。ただ、株が大きく下がって配分がずれていることはあるので、そのときは次の回の方法で配分を直します。
NISAの口座で売っても税金はかからないのに、売り買いしてはいけないのですか?
してはいけない、ではありません。ただ、NISAで売った分の枠が戻るのは翌年以降で、年間の投資枠は売っても戻りません。売っては買い直すことをくり返すと、その年の枠を使ってしまいます。長く持つほど税金がかからない良さが生きるので、触りすぎないほうが向いています。
点検で配分のずれや暮らしの変化に気づいたら、次はその直し方です。次の回では、リバランス(配分を元に戻すこと)と、暮らしが変わったときの見直し方を見ていきます(リバランスと見直し)。
出典:金融庁「NISAを知る」、金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(2024年6月)、国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」(いずれも2026年10月28日確認)。制度は変わることがあります。最新の内容は金融庁・国税庁と金融機関の案内をご確認ください。
この回のまとめ
- つみたては、設定すれば毎月自動で続く。毎日の値動きを見ても、やることは増えない。見るほど売り買いしたくなるので、見る回数は少ないほうがよい
- 見るのは年1回の点検と、暮らしが変わったときで足りる。点検の日は、誕生日や年の初めなど毎年同じ日に決めておく
- 点検で見るのは「積立が続いているか」「配分がずれていないか」「暮らしが変わっていないか」「コストや方針が変わっていないか」の4つ。評価額の上下は見るところではない
確かめ問題
Q1. NISAの口座で持っている投資信託を売ると、その年のうちに年間の投資枠が戻る。○か×か
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×
売った分の枠が戻るのは翌年以降で、戻るのは買ったときの金額です。年間の投資枠は売っても戻りません。
Q2. 年1回の点検で見る4つのところは何ですか?
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積立が続いているか、配分がずれていないか、暮らしが変わっていないか、コストや方針が変わっていないか
どれも、毎日の値動きとは関係なく、続けるために必要なことです。
Q3. 評価額がマイナスになっている日は、点検で何か手を打つ必要がある。○か×か
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×
評価額は毎日上下する「ゆれ」です。売らなければ損は確定しません。点検で見るのは、積立・配分・暮らし・コストのほうです。