第7章 相場を読む 7-1・読む時間 約7分・最終更新 2026年10月28日
金利が上がると株価はどうなる?|金利と株価がつながる3つの道すじと、日銀・FRBのニュースの読み方


「日銀が利上げを決めた」「FRBが金利を引き上げた」。ニュースでよく聞くけれど、それが自分の株や投資信託にどう関係するのか分からない。そんなふうに思っていませんか。
第6章では、会社を1社ずつ見る方法を学びました。最後の回では、個別株で大きくつまずかないための注意を見ました(個別株で大きく失敗しないために)。第7章では目線を広げて、金利・為替・景気といった「相場全体」を動かすものを見ていきます。最初は金利です。金利と株価のつながりは、3つの道すじで考えると、ぐっと分かりやすくなります。
この回でわかること
- 金利が上がると、株価が下がりやすいと言われる3つの理由
- 政策金利と長期金利のちがい、日銀とFRBが何を決めているか
- 金利のニュースが出たとき、積立をしている人はどう受け止めればよいか
結論
- 金利が上がると、会社の借金の利息が増える、預金や債券にお金が向かう、将来の利益の今の値打ちが下がる、の3つの道すじで、株価には下げる力が働きやすくなります
- ただし、景気がよくて金利が上がるときは、株価も上がることがあります。金利だけで株価は決まりません
- 日銀やFRBの決定は相場を動かしますが、長く積み立てる人が、そのたびに売り買いする必要はありません
金利は「お金の借り賃」
金利は、お金を借りたときに払う「借り賃」です。預金をする人は銀行にお金を貸しているので利息を受け取り、ローンを組む人や会社は利息を払います。
ニュースに出てくる金利には、大きく2種類あります。
- 政策金利:中央銀行(国のお金の元締めの銀行)が目標を決める、短い期間の金利です。日本では日本銀行(日銀)が、銀行などがお金を翌日まで貸し借りするときの金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の目標を決めます。米国では中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が、同じような短期の金利(フェデラル・ファンド金利)の目標の幅を決めます
- 長期金利:10年もの国債(国の借金の証書)の利回りなどのことで、市場の売り買いで決まります。住宅ローンの固定金利や、会社が長くお金を借りるときの金利に影響します
政策金利が上がると、銀行がお金を集める費用が上がり、預金の金利やローンの金利もその後を追って上がりやすくなります。
金利が上がると、株価に下げる力が働く3つの道すじ
日本証券業協会や金融経済教育推進機構(J-FLEC)の教材は、一般に金利が下がると株価は上がりやすく、金利が上がると下がりやすい、と説明しています。J-FLECの教材は、これを「シーソーのような関係」とたとえています。なぜそうなるのかを、3つの道すじで見てみます。
1. 会社の借金の利息が増える
多くの会社は、銀行からお金を借りて事業をしています。金利が上がると、払う利息が増え、その分だけ利益が減ります。新しい工場やお店を作るための借金もしにくくなります。
暮らしの面でも、住宅ローンや自動車ローンの金利が上がると、家や車を買う人が減りやすくなります。お客さんの買い物が減れば、会社の売上にも響きます。会社の利益が減りそうだと思われると、株価には下げる力が働きます。
2. 預金や債券にお金が向かう
金利が低いときは、預金に置いても利息はほとんどつかないので、「株に回そう」と考える人が増えます。逆に金利が上がると、預金や債券でもそれなりの利息を受け取れるようになります。値動きのある株をわざわざ持つ理由が、少し弱くなります。
株から預金や債券にお金を移す人が増えると、株を買いたい人が減り、株価には下げる力が働きます。
3. 将来の利益の「今の値打ち」が下がる
株価は、その会社がこれから稼ぐ利益を先取りして決まる、と考えられています(株とは何か)。ここで金利が関わってきます。
たとえば、金利が5%なら、今の100万円を預ければ1年後に105万円になります(説明のための計算の例です)。言いかえると、1年後の105万円は、今の100万円と同じ値打ちです。金利が高いほど、将来のお金の今の値打ちは小さく見積もられます。
このため、利益の多くをずっと先に稼ぐと期待されている会社(これから伸びる成長企業など)ほど、金利が上がったときに株価が下がりやすい、と言われます。PER(株価が1株あたり利益の何倍か)の高い会社ほど金利の動きに敏感だと言われるのも、このためです(割安・割高のものさし)。
いつも株価が下がるわけではない
ここまでの話は「下げる力が働きやすい」ということで、「金利が上がれば必ず株価が下がる」わけではありません。日本証券業協会も、実際の株価は会社ごとの業績や国際情勢などさまざまな理由で動く、と注意しています。
- なぜ金利が上がったのか:中央銀行が金利を上げるのは、多くの場合、景気がよくなって物価が上がっているときです。景気がよく、会社の利益が伸びていれば、金利が上がっても株価が上がることはあります
- 業種によって受け方がちがう:お金をたくさん借りて事業をする会社は利息の負担が重くなりやすく、お金を貸す側の銀行などは、貸すときの金利が上がると収入が増えやすい、というちがいがあります
- 市場が前もって織り込んでいるか:利上げが前から予想されていれば、株価はすでにその分を反映していることがあります。ニュースのときに大きく動きやすいのは、予想とちがう決定が出たときだと言われます
日銀とFRB:最近の決定と、ニュースの見方
日本銀行
日銀は、年8回の金融政策決定会合で、政策金利の目標を決めています。日銀の公表文で確かめた、ここ数年の動きは次のとおりです。
| 決めた日 | 決めたこと |
|---|---|
| 2024年3月19日 | マイナス金利政策を終え、0〜0.1%程度に |
| 2024年7月31日 | 0.25%程度に |
| 2025年1月24日 | 0.5%程度に |
| 2025年12月19日 | 0.75%程度に |
| 2026年6月16日 | 1.0%程度に |
| 2026年9月18日 | 1.25%程度に(9月24日から) |
この回を書いた2026年10月28日の時点では、9月18日の決定(1.25%程度)が最新です。次の会合は10月29日・30日に開かれる予定なので、最新の決定は日銀のホームページで確かめてください。
FRB(米国の中央銀行)
FRBは、年8回のFOMC(連邦公開市場委員会)という会合で、政策金利の目標の幅を決めます。2026年9月16日の会合では、目標の幅を0.25%引き上げ、**3.75〜4.00%**にすると決めました。次の会合は10月27日・28日です(いずれも2026年10月28日時点の情報)。
米国の金利は、米国株だけでなく日本の株にも影響します。世界中のお金が米国の金利を見て動くことに加え、日米の金利の差は円安・円高にもつながるからです。為替と株のつながりは、次の回で扱います。
ニュースを見るときの3つのポイント
- 何が決まったか:上げたのか、据え置いたのか、下げたのか
- なぜそう決めたか:景気がよいからか、物価が高すぎるからか。公表文や記者会見で説明されます
- これからについて何と言ったか:「引き続き引き上げる」「様子を見る」など、今後の方針の言い方に、相場は大きく反応することがあります
いろいろな専門家が、金利のこれからについて意見を出しています。見方の違う人を並べて読むと、何が分かれ目なのかが見えてきます(金利・日銀のご意見番、FRB・米金利のご意見番)。
積み立てている人は、金利のニュースをどう受け止めるか
金利の動きを知っておくことは大切ですが、長く積み立てている人が、利上げのたびに売り買いする必要はありません。金利は株価を動かす理由の一つにすぎず、利上げのあとに株価がどう動くかを前もって当てることはできないからです(下がったときにどうするか)。
金利の変化を、投資より先に暮らしの面で見直すと、役に立つことが多くあります。
- 預金:金利が上がると、預金の利息も増えやすくなります。生活防衛資金を置いている口座の金利を、ときどき確かめます(生活防衛資金)
- ローン:変動金利の住宅ローンなどは、返す額が増えることがあります。金利の高い借金の返済を先に考える、という順番の考え方も参考になります(借金の返済・預金・投資の順番)
よくある質問
金利が上がりそうなときは、株を売っておいたほうがいいですか?
金利が上がるかどうか、上がったあとに株価がどう動くかを前もって当てるのは、専門家でも難しいことです。売ったあとに株価が上がれば、買い戻す時期に迷うことにもなります。長く積み立てる人は、続けることが基本です。
日銀とFRBでは、どちらのニュースが大事ですか?
どちらも大事です。日銀の決定は日本の預金・ローンの金利や日本株に、FRBの決定は米国株や為替を通じて、日本の株にも影響します。全世界株式や米国株の投資信託を持っている人は、FRBの動きも知っておくとニュースが分かりやすくなります。
長期金利と政策金利は、同じように動きますか?
同じ方向に動くことが多いですが、いつも同じではありません。政策金利は中央銀行が目標を決め、長期金利は市場の売り買いで決まります。これからの景気や物価をどう見るかで、長期金利が先に動くこともあります。
金利が分かったら、次は為替です。円安・円高が日本の会社のもうけと株価にどう効くかを見ていきます(円安・円高は株にどう効くか)。
出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)、同(2026年6月16日)、同(2025年12月19日)、同(2025年1月24日)、日本銀行「金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について」(2024年7月31日)、日本銀行「金融政策の枠組みの見直しについて」(2024年3月19日)、日本銀行「金融政策決定会合の開催予定日等」、FRB「FOMC声明」(2026年9月16日の発表)、FRB「Meeting calendars and information」、日本証券業協会「金融緩和政策と株価の関係って?」(投資の時間)、金融経済教育推進機構「株式市場全体に関する要因①:金利」(金融経済ナビ)(いずれも2026年10月28日確認)
この回のまとめ
- 金利が上がると、会社の借金の利息が増える、預金や債券にお金が向かう、将来の利益の今の値打ちが下がる、の3つの道すじで、株価には下げる力が働きやすい
- ただし、景気がよくて金利が上がるときは、株価も上がることがある。金利だけで株価は決まらない
- 日銀・FRBの決定は相場を動かすが、長く積み立てる人が、そのたびに売り買いする必要はない。暮らしの面(預金・ローン)から見直す
確かめ問題
Q1. 一般に、金利が上がると株価にはどちらの力が働きやすい?
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下げる力
会社の借金の利息が増え、預金や債券にお金が向かいやすくなるためです。ただし、景気など、ほかの理由で株価が上がることもあります。
Q2. 日本銀行が金融政策決定会合で目標を決めている、短期の金利は何?
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無担保コールレート(オーバーナイト物)
銀行などが、お金を翌日まで貸し借りするときの金利です。日銀は2026年9月18日の会合で、1.25%程度で推移するよう促すと決めました。
Q3. 日銀が利上げを決めたら、積み立てている投資信託はすぐに売ったほうがよい。○か×か
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金利は株価を動かす理由の一つですが、それだけで株価は決まりません。長く積み立てる人は、ニュースのたびに売り買いせず、続けることが基本です。
もっとくわしく
- イールドスプレッドとは|利回りの差を把握する方法(基礎アーカイブ・2015年)
- 要人発言とは|為替相場・株式相場に与える影響を事例で紹介(基礎アーカイブ・2019年)
- 金利・日銀のご意見番
- FRB・米金利のご意見番