バルサラの破産確率とは、FXや株式などのトレードルールが期待値の高いかどうかを、「勝率」「損益率」「プロフィットファクター」の3つ項目から判断する表のことです。
投資で成功するためにやるべきことを一言で表すと、「長く続ければ資産が増え続ける確率が高いトレードルールに沿って、淡々と売買を繰り返すこと」に尽きます。
私は、このバルサラの破産確率を活用し、質の高いFXのトレードルールを構築することができました。バルサラの破産確率は、勝てるトレードルールを作るために必要不可欠です。
この記事で、勝ち続ける秘訣をしっかり学んでいきましょう。
執筆者
ぶせな
FXの専業トレーダー。認定テクニカルアナリスト。 本格的にFXを開始してから10年で1億6,500万円の利益を突破。著書に、『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』(共に、日本実業出版社)がある。ツイッターアカウントは、『@busena_fx』、ブログは『億トレーダーぶせなブログ』。
1.バルサラの破産確率表とは
冒頭でお伝えしたように、FXをはじめとした投資で大きな利益を得るために最も重要なことは、「長く続ければ勝つ確率が高い売買ルールに沿ったトレードをすること」です。
そして、投資を始めたばかりの人は、「自分のルールが正しいかどうかどうやって知るの?」という疑問を持たれていることでしょう。バルサラの破産確率表は、まさに、自分のトレードルールが正しいかどうかを評価するツールです。
それでは早速、バルサラの破産確率表とはどんなものか、見てみましょう。

この表を正しく利用するには、まず自分自身の、次の3つ取引データを常に記録しておく必要があります(FX会社の取引ツールで、自動で算出してくれるところもあります)。
- 勝率:勝トレード数 ÷ 総トレード数
- 損益率:平均利益(pips) ÷ 平均損失(pips)
- プロフィットファクター:総利益 ÷ 総損失
- 勝率:勝トレード数 ÷ 総トレード数
- 損益率:平均利益(pips) ÷ 平均損失(pips)
- プロフィットファクター:総利益 ÷ 総損失
例えば、あなたのトレードの平均勝率が70%だとします。これは、非常に高い勝率です。しかし、損益率が0.2だったらどうでしょうか?バルサラの破産確率表を使って、この2つの数字がクロスしている数字を読み取ります。

いかがでしょう?98%とありますね。これが、あなたが破産する確率ということになります。
破産確率が98%だとしたら、直ちに改善が必要ですね。では、改善のためには何をすればよいと思いますか?
答えは、損益率を引き上げることです。
損益率の計算方法は、《平均利益(pips) ÷ 平均損失(pips)》でした。つまり、一つ一つのトレードの平均利益をもっと伸ばすか、平均損失を低く抑えれば良いのです。
そして、平均利益を伸ばすコツは、利益確定のポイントの読み方の理解を深めることです。また、平均損失を低く抑えるコツは、損切りのルールを見直すことです。この両方ができれば、損益率をアップできます。
今度は、別の事例で考えてみましょう。
あなたのトレードの平均勝率が40%で、平均損益率は2.0だとしたら、破産確率はどうなるでしょうか?もう一度、先ほどのバルサラの破産確率表から読み取ってみて下さい。
この場合、勝率は低いにも関わらず、破産確率は16.8%になります。ただし、16.8%という数字は決して優れているとはいえず、トレードルールを改善して、より低い数字を目指すして破産確率を可能な限り低くする必要があります。
そのためには、まず勝率を上げることに集中することがポイントです。具体的には、チャートパターンやチャート分析の精度や、エントリーの判断の見直しが必要です。
このように、勝率と損益率から破産確率を確認して、トレードの改善点を探るクセをつけることが、最初にお伝えした、長く続ければ勝つ確率が高いトレードルールの構築につながります。
さらに、破産確率を最小にしつつ、(3つ目の)プロフィットファクター(=総利益 ÷ 総損失)を最大限にできるトレードルールこそが、最も期待値が高いということになります。
ポイント!
勝ち続けるためには、あなたのトレードを振り返る必要があります。「勝率」「損益率」「プロフィットファクター」を計算してみましょう。
2.成功するために目指すべき水準
この章では、長く続ければ勝てるトレードルールを作るにはどの水準を目指すべきかを、私のトレード履歴を基に解説します。
ちょっと古くなりますが、下の取引履歴は、2016年6月24日に、イギリスのEU離脱を問う国民投票があった日の1日のトレード結果です。歴史的な相場だったので取り上げました。この日、離脱派勝利という、市場の大方の予測に反する投票結果となりました(ブレグジットショック)。
そして、たった1日で、ポンド円は2,500pips以上の大暴落、ドル円も700pips以上の下落という歴史的な日になりました。この日の相場は歴史的な大荒れだったので、私は、含み損益の激しすぎる相場に飲み込まれないようにスキャルピングをしました。
下の画像は、その時の私の全トレード履歴です。

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このトレード履歴から3つの項目を算出すると、次のようになります。
勝率 | 67.6%(=勝ちトレード数44回÷全トレード数66回) |
損益率
| 3.2(=勝ち平均pips ÷ 負け平均pips) ※トレード毎に取引数量が違うので、pipsでの計算 |
プロフィットファクター | 5.03(=総実現益918,306円 ÷ 総実現損182,306円) |
勝率 | 67.6% (=勝ちトレード数44回÷全トレード数66回) |
損益率
| 3.2 (=勝ち平均pips ÷ 負け平均pips) ※トレード毎に取引数量が違うので、pipsでの計算 |
プロフィット ファクター | 5.03 (=総実現益918,306円 ÷ 総実現損182,306円) |
そして、勝率と損益率をバルサラの破産確率表に当てはめると、破産確率は0%になります。
この日のようなトレードが継続的にできれば、利益を積み重ねていけるという自信が持てるようになります。では、「長く続ければ勝ち続けることが確信できる期待値の高いトレードルール」を作る上で、目指すべき破産確率は何パーセントだと思いますか?
結論から言うと、目指すべき破産確率は0%です。
破産確率が10%だとしたら、10人に1人は破産するということになります。FXで大きな資産を築いていくのなら、10%でも高過ぎます。しかも、10%を目指しても、現実的には20~30%になってしまうでしょう。
トレードしていると、途中でルールを破ってしまったり、メンタルが崩れて連敗する場面も出てくるため、少し余裕を持っておくことをおすすめします。現実的には、破産確率0%を目指して、ようやく一桁台にできるイメージです。
そして、プロフィットファクターは3.00を超えていれば、非常に優秀な数字と言えます。まずは、このラインを目指しましょう。そのためには、とにかく損失を小さく利益は大きくの「損小利大」を徹底することが大切です。
ポイント!
自分の取引履歴を分析することで、自分では気付かなかった発見があります。そうすると、どんなトレードをすべきかが自ずと分かるようになります。
3.自分のトレードから学ぶ人間は進歩する
自分のトレードの結果を数字で把握することは、とても重要です。トレード結果は相場によって日々変動しますが、あなたのトレード技術が1日で劇的に変わることはありませんね。
そのため、多少のブレはあったとしても、分析には、あなたのトレードのクセがそのまま数字で表れます。数字で現実を突き付けられるのは、決して気持ちいいものではありません。特に、FX初心者の方には、このような分析をする方はほとんどいないでしょう。
次の言葉は、著名な投資家マーク・リッチーのものです。
自分がやったトレードから学ぼうとする人間は進歩する。
あなたが自分のトレードから何かを学ぼうとすれば、それだけで一歩も二歩も秀でることになります。
更に言えば、「負けトレードの時こそ分析する」ことが重要です。適当にトレードして適当に損切りをしていたら、自分の現在のトレードルールが「長期的に続けていれば勝てる期待値の高いルール」であるかどうかを、検証することもできません。
しかし、一つ一つのトレードを意図を持って実行し、更にバルサラの破産確率表で分析をすれば、「どうすれば勝てたのか」あるいは「どうすればもっと損益率を高められたのか」を考え、自分のトレードルールを改善するようになります。
このサイクルを繰り返していると、必ずと言っていいほど、数字が良くなっていきます。そして、ある地点まで来ると、1年後、2年後、5年後の大勝ちを、クリアにイメージできるようになります。そうなった時、あなたはすでにFXで成功するレールに乗っていることを意味します。
最初は、自分の取引履歴を分析することに抵抗があるかもしれません。しかし、あなたが思い描いている未来を実現するためには必要なステップだということを強く認識しましょう。
《補足》
私がトレードルールの重要性に気付いたのは、FXで大損したことがきっかけです。次の記事では、私の失敗談と成功体験を包み隠さず公開しています。よろしかったらお読み下さい。
まとめ
FXに限らず、投資で勝てるようになるためには、自分のトレード結果をしっかり分析し、改善していく意思があるかどうかにかかっています。
トレード分析は決して難しいものではありません。バルサラの破産確率表は、その手助けをしてくれます。まずは、自分のトレードルールの破産確率を算出し、現実を受け止めることから始めましょう。これだけでも、何が悪いのか分かってくるはずです。
少しずつでもいいので、前進していきましょう。